コミュ障なんです!
「調子悪いならベッドで寝てください」
「俺は床でいい」
「駄目ですよ。ここ永屋さんちだし」
「引っ張り込んだの俺だし。ベッドで寝て。客用の布団、ひとセットだけあるから」
「ああもう! 私がやるから、横になっていてください」
肩に寄りかかってくる永屋さんを引き離し、衝立の向こうに合った収納スペースから布団を取り出す。
間に衝立を挟めばいいか。そしたら同じ部屋に寝たって言っても別の部屋みたいなもんじゃん。
布団を敷いて、倒れ込んでいる永屋さんを寝かせる。
空のペットボトルに水を入れて、枕元に嘔吐用ビニール袋とともにセットオン。
「ごめんね、和賀さん」
半分寝ぼけたような顔で言われると、放っておけないじゃないか。
「……今日だけですよ」
ちらりと台所をお借りして、冷蔵庫の食材をチェック。
味噌汁食べたい割りには、材料がないじゃん。
朝一でコンビニ行けば、何か作れるかな。
とりあえず言われた通りベッドを借りたものの、永屋さんの香りがして落ち着かない。
衝立の向こうの彼は、寝息を立てているようだ。
「人の気も知らないで」
頭にくる。
こんな事ばれたら、三浦さんに誤解されますよ。
それに私だって、勘違いしそうになるからやめてほしい。
私、人と話すのは本当に慣れてないんだから。
こんなふうに構われたら、好きになってしまいそうで怖い。
だめだって。
私の夢は専業主婦。
間違っても、永屋さんの好みとは違うんだから。