コミュ障なんです!


 午前中は、トレンドハウスでの打ち合わせ用の資料を作っていた。
メールで何度かやり取りをしているので、斉藤さんがシステムに盛り込みたい機能は大体聞き取れている。それをまとめて担当者同士でもう一度確認して決定するのが明日の会議。

これはもうシステム構築の担当になるので、永屋さんは同行しない。ので、今日のうちに彼に確認してもらわなきゃいけないんだけど、顔を合わすのは気が重い。
こんな時はメールで済ますに限るよ。

確認をお願いする文面に資料を添付し、送信ボタンを押してはーっと大きなため息をつく。

とりあえず今やることが終わってしまった。
なんとなく周りを見渡す余裕ができて、伸びをしがてら視線をめぐらす。

大抵の人は自分の机でひたすら打ち込み作業をしているので、キーボードをたたく音ばかりが響いているのだけど、ひとり、電話に向かって怒り顔でまくし立てている人物がいる。三浦さんだ。


「聞いてるの? 田中くん」


聞こえてくる名前に、営業の田中さんを思い出す。まあよくある名前だからあの田中さんかどうかはわからないけど。
もしそうだとしたら、三浦さんは同期相手でもちゃんと、こんな風に怒ったりできるんだなぁ。

リーダーとしてプロジェクトを仕切る人としては、正しいと思う。
いいも悪いもはっきり言ってもらえないと、ついていく人が迷うもん。
私も、三浦さんがリーダーの時はとてもやり易かった。

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