誰にも言えない


「ねえねえ、羽那は誰と踊るの??」


またしても、心臓が口から飛び出るかと思った。


色白な美人で線の細い楓の、何気ない言葉だ。
そりゃあ気になるだろう。


サラサラのショートヘアで黒目勝ちの大きな目だけが自慢の地味子。


美人なわけでもなく背が高いわけでもなくスタイルがいいわけでもなく、ましてや勉強ができるわけでもない。


ああ、わたしは何という大それたことを!?


先生に、憧れの先生にラブレターだなんてっ!!


「わっ!!わたしは!!そんな!!いないもんそんな人っ!!」


我ながら動揺しすぎた。


「今の間と反応で、それ言いますか」


「アヤシイ」


ぽっちゃりした天然パーマがトレードマークの、もうひとりの親友、柄沢(カラサワ)ゆずにまで弄られる。



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