誰にも言えない
2
「―――私たち、もう終わりにしたいの」
駅のホーム。
いつもの帰りの電車で、先生と同じ方向。
いた。
あれっ??
知らない女の人と話してる。
きれいな人―――
ズキズキした。
痛い。
胸が。
「―――っ!!」
「ごめんなさい」
「じ、冗談だろ」
なんだろう。
別れ話……??
揉めてる???
「なあ、おい」
先生の手が、女の人の腕に回って引き寄せようとする。
「離して」
振り払った弾みで、先生の体がバランスを崩した。
「………っ!?」
女の人も息を飲んだ。