あなたに出会えた奇跡
「だって、風が気持ちいいんだもん」


「そうは言うけど、やっぱり寒いでしょ?ほら、手、冷たくなってる」


悠真はそう言って、私の手を握る。


悠真の手は、あたたかかった。


「悠真の手、あったかいね」


「そりゃ、今まで室内にいたからね」


「……もう少し、握っていてもいい?」


「いいけど、これ、着て」


悠真は着ている上着を脱ぐと、フワリと私の肩にかける。


「いいのに。悠真の方が寒いでしょ?」


「僕はいいんだよ。僕より、栞の方が大事だから」


「ありがとう……ふふ、悠真のにおいがする。優しいお日様みたいなにおい」


「っ……恥ずかしいこと言わないでよ。もう、戻ろう?」


「はーい。ふふふ、やっぱり悠真も寒いんじゃない」


「そんなんじゃないよ。栞が風邪ひいたら困るし」


「うん。でも、悠真が風邪ひくのも嫌だからね?」


「大丈夫だよ。僕は風邪ひかないから」


「そんなの絶対じゃないんだからね。いくら悠真でもひくときはひくんだから」


「わかってるって。戻ろう」


「うん」


そうして、私たちは手を握ったまま私の病室へと戻った。
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