あなたに出会えた奇跡
「栞、あの事、この4人に言うの?」


悠真が私の耳に顔を寄せ、小声で聞いた来た。


あの事っていうのは、私の余命のことだろう。


「……そのうち、言わなくちゃいけない時が来ると思うんだよ。その時までは、まだ……」


「わかった。なら、栞の体が弱いってだけ伝えておこうか」


「うん。今はまだ、その方がいいと思う」


まだ、知り合ったばかりですごく仲がいいとは言えないから。


一緒に過ごしていくうちに、仲良くなれるかな。


「悠真、そろそろ時間なんじゃないか?」


唐突に泰雅さんが悠真に話しかけた。


時間?どういう事だろうか。


頭にはてなマークを浮かべながら悠真の袖を引き、悠真を見上げた。


「ああ、ごめん。クラスの喫茶店の当番がそろそろなんだよ」


「悠真のクラス?行ってみたいな」


「え……」


「……ダメなの?」


「う゛っ」


じぃーっと悠真を見上げて聞いたら、悠真が小さく唸り声をあげた。


なんだろ?顔も少し赤くなってるし。


あっ、今までずっと外にいたから、冷えちゃったかな?


「うーわー……アレはクリティカルヒットしたね」


「しかも栞は無自覚ときた!」


「自覚ないのが一番たちが悪いわね」


「おーい。悠真、生きてるかー?」


そう思っていたら、4人がコソコソ話してた。


いや、泰雅さんはコソコソしてないか。


「なんの話?」


「いや、なんでもないよー!」


「そうそう、なんでもないなんでもない。栞は気にしなくていーの!」


そうなのかな?
< 33 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop