あなたに出会えた奇跡
そして、悠真のクラスに着いた時、私の目はキラキラと輝いていたんだと思う。


美桜ちゃんがなぜだか「栞可愛いっ!」って言いながら抱きついて来たし。


まあ自分でも自覚はある。


何故なら……




「アニマルカフェ……?」


「そっ!接客係がケモミミと尻尾つけて接客するんだよ!」


「ちなみに接客するのは泰雅以外よ。もちろん悠真もするわ」


「そうなの……!?」


私はそう言って、悠真を見つめる。


この時も、目がキラキラしていたと後で美桜ちゃんに聞いた。


実は私、動物大好きなんだよね。


ファー付きのとかモコモコの服が好きなのって、なんだか動物っぽいからだし。


それに悠真が動物の耳をつけてるのなんて、すごく貴重だ。


「う、うん……不本意だけどね」


「悠真はなんの動物なの?」


「……なんだっけ」


あれ?悠真は知らないの?


自分がつけるものなのに、と考えながら、莉央ちゃんに視線を向けると……


「無理もないわ。悠真は自分がつけるものを知らされてないもの」


「そうなの?」


「ええ。嫌がって試着とかしないんだもの。泰雅に至っては接客係を回避しているし」


「しょうがねぇだろ。嫌だったんだから」


「えー、泰雅がやれば面白そうだったのに」


「そうだねー。私たちのなかでやらないの泰雅くんだけだもんねー」


「うるせぇそこのバカップル」


面白がってからかう圭さんと美桜ちゃんを泰雅さんは睨む。


睨んだ泰雅さんがすごい迫力で、ちょうど美桜ちゃんの隣にいた私は反射的にビクッとしてしまった。


そんな私の反応を見た悠真が泰雅さんににこーっと笑って言った。


「泰雅……?なに栞を怖がらせてるの……?」


「あ、いや……すまん」


「い、いえ。大丈夫ですよ。ちょっとびっくりしただけですし」


私がそういうと、泰雅さんはホッとしたようだ。


どうやら悠真が恐いらしい。


そんな泰雅さんを、美桜ちゃんと圭さんがまたからかう。


今度は莉央ちゃんも混ざって泰雅さんをからかっている。


そんな4人を見て少し笑った後、悠真の耳に顔を寄せ、囁いた。


「悠真、私は大丈夫だからそんなに心配しなくていいんだよ?」


「でも、栞……」


悠真はそう言って眉を下げて心配そうな顔で私を見る。


いくら心臓が弱くて余命もあるって言ったって、そのくらいじゃなんともないんだけどなぁ。


「このくらい大丈夫だよ。悠真、お仕事もあるんでしょ?」


「まあ、そうなんだけど……」


「サボるのはダメだよ?ほら、行って」


「うん……栞、何かあったらすぐに言うんだよ?」


悠真は最後まで私の心配をしながら、教室へと入って行った。


本当に悠真は心配性なんだから……
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