好きを百万回。 〜Revenge at Boston〜
「だからオレと別れてもダメージがない?」
「・・・・・・・・・・多分」
こらえ切れず、クックッと肩を揺らして笑う。
「ーーーーークソだな」
「そんな言い方・・・・・木下さんが・・・・・」
「矢口、お前だよ」
矢口が息を呑む。
「お前、人を恫喝したり脅迫したりするときには周りに誰もいないことくらい確認しろ」
「何を言ってる・・・・・んで・・・・・」
「『エリートにばっかり尻尾を振る雌犬』」
「なにーーー?」
「銀行の男子行員たちの間でお前そう呼ばれてるんや。上手に名前つけてもろたな」
テーブルに置いたグラスを弄びながら口角を少しだけ上げて矢口をいたぶる。
随分意地が悪そうに見えることだろう。
「酷い!!」
顔色を無くした矢口が叫んだ。
「事実だろうが。まあ、性格が悪いのが災いして合コンで上手く釣り上げても2,3回ヤッて捨てられてるんやろうけど」
図星だろうか。
フォークを持つ手がカタカタと震えている。