好きを百万回。 〜Revenge at Boston〜
言い返す言葉がないのだろう。うっすらと涙を浮かべた瞳でオレを睨みつけてきた。
「ーーーーーーなんでそこまで野波さんに言われないとダメなんですか」
「お前はオレのいちばん大事なものを傷付けた」
優しくて
可愛くて
腕の中で大切に守って愛しんでいたのに。
「捨てられたくせに・・・・・・・・・・!!」
「根性悪のお前が父親の権力を振りかざしてオレの未来を潰すって脅したからな。何やったらお前がこまりにした嫌がらせの証拠を全部揃えて脅迫の場にいた証人と一緒に常務のところに行ってやろうか」
恐らくいちばんコイツがされたくないこと。容赦なく言い放つ。
ノコノコとボストンまで来やがって厚顔無恥にも程がある。
いっそそのおめでたい頭をかち割って中を覗いてみたいくらいだ。
「・・・・・・・・・・こんな冷淡な人やって知らんかった・・・・・!」
声を震わせて矢口がやっとという感じで言い返してきた。
勘定書が挟まれた革の小さなファイルに食事代とチップを含んだ金額を挟み込み、話は終わったと言わんばかりに荷物を傍らに抱えて腰を上げた。