そのままで。
今日は六年生を送る会があります!一生懸命頑張ってきたお歌をがんばって歌いましょうね!」
美月の担任の先生がそう言うと、みんな一斉に教室の後ろに並び始めた。
その時、廊下から来た校長先生が担任の先生を呼び出してなにか話している。
話し終えたのか、次は私の方向にやって来た。
「永井さん?お父さん来てるから、会いにいこっか、」
「ホント!?行く!」
スキップをしながらあるく私。
「先生?早くいこ?」
「あ、、、うん!そうだね、」
先生はなんだかぱっとしない顔をしている。
“先生何か嫌なことあったのかな。”
そんな考え事をしているとお父さんが向かい側から歩いてきた。
「お父さん!」
「お、美月~、ちょっとこれからお出かけしよっか、」
「お出かけ?いいよ!行く!」
ランドセルを背負ったまま車に乗って、連れて行かれたのは市役所。
おじさんやおばさんがたくさんいて、緊張感がある所だった。
さらに奥へ奥へと連れて行かれ、
入らされたのは円盤の机に上品な椅子が何個もおかれた会議室だった。
そこには美奈ちゃんの姿もあった。
「こんにちはお嬢ちゃん。そこの椅子に座ってくれるかな。」
なんにんもの大人たちに囲まれて、椅子に座る。
「美奈ちゃん、美月ちゃん。二人はお父さんとお母さん、どっちが好きかな。」
「どっちも好き。」
それが単純な答えだった。
「じゃぁ、お父さんかお母さん、どっちと住みたい?」
私はその質問の意味が分からなかった。
家族みんなで暮らすんじゃないの?
そんな質問、聞かなきゃいけない理由なんてないでしょ?
すると美奈ちゃんは何かを悟ったように答えた。
「お母さんがいいです。」
「美月ちゃんはどっちがいい?」
姉が選んだ方に行かない妹はそうそういないだろう。
でもやっぱりお父さんが怖い。
ここでお母さんと答えたら怒られる。
そんな恐怖に襲われた。
「お父さんには、内緒にするよ。絶対に。」
「ホント?」
その大人の言葉に少しほっとした。
「私もお母さんがいい!」
目の前の大人たちはアイコンタクトをとって、
私達を連れて外へ出た。
お父さんに何かを話している。
私達の先には美琴お姉ちゃんがいた。
「美琴お姉ちゃん!あのね、あのね!」
「美月、美奈。」
私達の言葉を遮るようにして話す美琴おねえちゃん。
「さっき、お母さんとお父さん、どっちを選んだ?」
その言葉にドキッとした。
さっきの大人の人は話さないと言っていたのに…。
でも美琴お姉ちゃんだから大丈夫。
「お母さんだよ!」
そういった瞬間、美琴お姉ちゃんの眼からは1滴。また1滴と
涙がこぼれおちてゆく。
そのまま私達をぎゅっと抱きしめて、
「どこにいても、元気でね。どこにいても、忘れちゃだめだよ。」
「美琴お姉ちゃん…?」
私達は訳が分からないままギュッっと強く抱きしめ返した。
美月の担任の先生がそう言うと、みんな一斉に教室の後ろに並び始めた。
その時、廊下から来た校長先生が担任の先生を呼び出してなにか話している。
話し終えたのか、次は私の方向にやって来た。
「永井さん?お父さん来てるから、会いにいこっか、」
「ホント!?行く!」
スキップをしながらあるく私。
「先生?早くいこ?」
「あ、、、うん!そうだね、」
先生はなんだかぱっとしない顔をしている。
“先生何か嫌なことあったのかな。”
そんな考え事をしているとお父さんが向かい側から歩いてきた。
「お父さん!」
「お、美月~、ちょっとこれからお出かけしよっか、」
「お出かけ?いいよ!行く!」
ランドセルを背負ったまま車に乗って、連れて行かれたのは市役所。
おじさんやおばさんがたくさんいて、緊張感がある所だった。
さらに奥へ奥へと連れて行かれ、
入らされたのは円盤の机に上品な椅子が何個もおかれた会議室だった。
そこには美奈ちゃんの姿もあった。
「こんにちはお嬢ちゃん。そこの椅子に座ってくれるかな。」
なんにんもの大人たちに囲まれて、椅子に座る。
「美奈ちゃん、美月ちゃん。二人はお父さんとお母さん、どっちが好きかな。」
「どっちも好き。」
それが単純な答えだった。
「じゃぁ、お父さんかお母さん、どっちと住みたい?」
私はその質問の意味が分からなかった。
家族みんなで暮らすんじゃないの?
そんな質問、聞かなきゃいけない理由なんてないでしょ?
すると美奈ちゃんは何かを悟ったように答えた。
「お母さんがいいです。」
「美月ちゃんはどっちがいい?」
姉が選んだ方に行かない妹はそうそういないだろう。
でもやっぱりお父さんが怖い。
ここでお母さんと答えたら怒られる。
そんな恐怖に襲われた。
「お父さんには、内緒にするよ。絶対に。」
「ホント?」
その大人の言葉に少しほっとした。
「私もお母さんがいい!」
目の前の大人たちはアイコンタクトをとって、
私達を連れて外へ出た。
お父さんに何かを話している。
私達の先には美琴お姉ちゃんがいた。
「美琴お姉ちゃん!あのね、あのね!」
「美月、美奈。」
私達の言葉を遮るようにして話す美琴おねえちゃん。
「さっき、お母さんとお父さん、どっちを選んだ?」
その言葉にドキッとした。
さっきの大人の人は話さないと言っていたのに…。
でも美琴お姉ちゃんだから大丈夫。
「お母さんだよ!」
そういった瞬間、美琴お姉ちゃんの眼からは1滴。また1滴と
涙がこぼれおちてゆく。
そのまま私達をぎゅっと抱きしめて、
「どこにいても、元気でね。どこにいても、忘れちゃだめだよ。」
「美琴お姉ちゃん…?」
私達は訳が分からないままギュッっと強く抱きしめ返した。