縛 り
孤独
初めて血を吐いたのは何時だったか。
もう大分前だ。
その瞬間から段々と僕の体は蝕まれていった。
その経過は嫌なほど自分の身体から伝わってきて。
初めは体力が落ちて、それから刀を十分に振る筋力もなくなって、遂にはそれを持って歩く事すらままならなくなった。
今では殆どこの布団の上で寝ているだけだ。
本当はもっと近藤さんや土方さん達と一緒に戦っていたいのに、見放された。
いや、僕の体の事を思っての事なのはよく分かっている。
だけどどうしたって、お前はもう要らないと捨てられた気持ちになってしまうんだ。
僕は弱い。
剣を持って居なければ強く居られない。
剣を持てなくなった今ではただ斬られるだけだ。
でも、それでも、あの人達と同じ〝戦場〟で死ねるならマシだった。
こんな布団の上よりか、ずっと。
ここに来てからはそんな事ばかり考えていた。
特に最近は近藤さん達からの手紙も来なくて尚更。
そうゆう時に彼女が此処へ来たんだ。
だからせめて、この人にだけは僕をずっと必要として欲しい。
そんな醜い気持ちがあんな汚い嘘を生んだ。