塩素系と酸性系の洗剤を混ぜれば塩素ガスが生じてしまうのだけれど、私達もそんな風に相容れないのかしら?
「ガラスのハートなんてよく言うけれど、ガラスは強いのよ。粉々に割れたって、そこには欠片があるもの。」



欠片を集めて繋げてくっ付けて、断片くらいはなんとかなるけれど。



「私の心はシャボン玉なのよ。壊れたら跡形もなく消えてしまう。その程度のモノ。」



思い出は色褪せて、記憶は塗り潰されて。


原材料‐マテリアル‐が判らなくなるほどに。



「一瞬だって『私』には戻れないわ。」



出逢ったのは必然で、



「あの場所に私は居たのよ。冗談でしょ?」



再会は偶然なのか、



「残念ながら本気ですよ。狂気を笑顔に隠し偽りの言葉を並べ立ててる僕でも、貴女には嘘は付きませんよ。」



ねじ曲げた運命によって、



「この世界では不可思議でしょうが、いけないことでも無いと思うのですがね。愛する人を守ることは。」



手にした宿命は……?



「命を刈り取る者は誰よりも命の価値を知っています。貴女もそうでしょう?」


「ええ、そうよ。だけど、たくさんたくさん失った、もう失いたくないの。だからいくら愛を伝えられても、貴方の気持ちには応えられないわ。」



応えてしまったらきっとまた……
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop