彼の青色
隣の席でずっとスマホのゲームをしていた男の人がいつの間にかいなくなっていて、かわりに制服姿の若い女の子と男の子が座っていた。
その制服は私と彼が通っていた高校のもので、自分だってそれを着ていたのはまだ二年前のことなのに、ずいぶん昔みたいな気になってつい見てしまう。
ドーナツを5つ乗ったお皿と、私と同じおかわり自由のコーヒーのカップ一つを間に挟んで、昨日見たバラエティーの話をしてはくすくすと笑い合う二人の隣で私の気持ちはどんどん暗くなってしまう。
こんなデートでいい。
おかわり自由のコーヒーを二人で分けて、ただ向かい合って、下らない話をするだけでいい。
目の前に、彼がいてくれさえしたら。
ただ、その髪や頬や指に触れられれば。
今この時、彼はなにをしているのだろう。
どんな顔でどんな服を着てどんなことを考えているのだろう。
あの青い腕時計は、今日も彼の手首に巻き付いているのだろうか。
なくてはならないものとして、今日も彼の一番そばにいるのだろうか。
だとしたら、私は私をやめたい。
私は、彼の青い腕時計になりたい。
その制服は私と彼が通っていた高校のもので、自分だってそれを着ていたのはまだ二年前のことなのに、ずいぶん昔みたいな気になってつい見てしまう。
ドーナツを5つ乗ったお皿と、私と同じおかわり自由のコーヒーのカップ一つを間に挟んで、昨日見たバラエティーの話をしてはくすくすと笑い合う二人の隣で私の気持ちはどんどん暗くなってしまう。
こんなデートでいい。
おかわり自由のコーヒーを二人で分けて、ただ向かい合って、下らない話をするだけでいい。
目の前に、彼がいてくれさえしたら。
ただ、その髪や頬や指に触れられれば。
今この時、彼はなにをしているのだろう。
どんな顔でどんな服を着てどんなことを考えているのだろう。
あの青い腕時計は、今日も彼の手首に巻き付いているのだろうか。
なくてはならないものとして、今日も彼の一番そばにいるのだろうか。
だとしたら、私は私をやめたい。
私は、彼の青い腕時計になりたい。