透き通る季節の中で
 授業中に、山下くんの詩を読んでみた。

 二十個もの詩が綴られている。
 情熱的な詩もあれば、感動的な詩もある。明るい詩や前向きな詩が多い。

 
 私がいちばん気に入ったのは、走ることをテーマとした詩。

 
 頑張れば頑張った分だけ前に進める。走れば走った分だけ速くなる。どんなに急な坂道でも、どんなに長い坂道でも、顔を上げて進み続ければ、登りきることができる。もう後ろは振り返らない。前だけを見つめて走り続ける。未来の可能性を信じて。

 いかにも山下くんらしい詩だと私は思った。

 

 私は詩を書いたことがない。
 書いてみようと思ったけど、何も思い浮かばなかった。
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