透き通る季節の中で
 この日から、春子さんとメールでやり取りするようになり、週に二回ほど、春子さん家にお邪魔するようになった。

 学校のこと
 部活のこと
 家族のこと
 友達のこと
 進路について
 好きなものや好きなこと
 趣味について
 恋や愛について

 春子さんには、どんなことでも話せる。どんなことでも話してくれる。どんなことでも相談に乗ってくれる。

 私より十年以上も長く生きているし、苦労しているだけあって、いろんなことを知っている。人の心を読み取る洞察力も優れている。

 とても頼りになるお姉さん的な存在。



 春子さんは写真が好きで、以前はよく写真を撮っていたという。

 何気ない街の風景
 空の写真
 草花の写真
 鳥や犬や猫などの動物の写真
 建物の写真
 家族の写真

 それらの写真を私に見せてくれた。

 どの写真もよく撮れていて、アングルもよく、撮り方が上手だな。と私は思った。

 私は趣味が少ないので、いつか写真を趣味にできたらいいと思う。



 残念なことに、今は写真は撮っていないという。

 家計が苦しくなったとき、八万円もした一眼レフカメラを売ってしまったらしい。

 お金を貯めて、また一眼レフカメラを買おうかな。と言っている。

 是非とも買ってほしいと思う。

 ストレスを発散するために、趣味を楽しむことは大切だと思うから。



 春子さんは、心理カウンセラーの資格を取るために、勉強を始めたという。

 その目的は、死別で苦しんでいる人たちの相談に乗ってあげること。

 大きなピンチを乗り越えた春子さんなら、きっとよい心理カウンセラーになれると私は思う。



 日菜子ちゃんと寛太くんとも仲良くなり、四人でテレビゲームをしたり、外でキャッチボールをするようになった。

 寛太くんは、プラスティックバットをぶんぶん振り回しながら、プロ野球選手になるんだ! プロ野球選手になるんだ! とよく言っている。

 日菜子ちゃんの将来の夢は、社長さんになることらしい。お母さんに楽をさせてあげるために。

 まだ小さいのに偉いと思う。

 どんな会社の社長さんになりたいの? と聞いてみたら、んんー、わかんない。何でもいいから、社長さんになるの。と言っていた。


 
 春子さんには、日菜子ちゃんと寛太くんがいるから大丈夫。

 これからも、母子三人で支え合って生きていくと思う。
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