透き通る季節の中で
 亮太の命日、私は学校を休んだ。

 お花屋さんでコスモスの花束を買って、アルバイト先のスーパーでお線香を買った。

 春子さんには何も伝えず、私は電車に乗り込んだ。



 十一ヶ月ぶりの思い出の海。

 風は弱く、波も穏やか。

 空は晴れている。



 コスモスの花束を海に流し、浜辺でお線香を焚いた。

 海と空に向かって手を合わせた。



 波が穏やかでも、波が荒くても、海はいつでも海。

 晴れていても、曇っていても、雨が降っていても、空はいつでも空。

 海も空も変わらない。

 人はどんどん変わっていく。


 
 亮太、私は……どうすればいいのかな。
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