透き通る季節の中で
 どうするか決められないまま、高校生活最後の体育祭も終わり、今年も透き通る季節がやってきた。

 部活も引退して、いよいよ受験シーズン。

 

 私はやっと自分の進路を決めた。

 寮のある、女子短大に進学する。

 短大生活二年間の間に、やりたい仕事を見つけようと思う。



 美咲は、二年間で幼稚園教諭免許が取得できる専門学校に進学。

 友紀は、三年制の料理専門学校に進学。

 まっちゃんは、お父さんが経営しているという、印刷会社に事務員として就職するという。

 

 美咲と友紀は、さほど勉強しなくても、第一志望の専門学校に合格できるという。

 お父さんの会社に就職するまっちゃんは、受験勉強をする必要ない。

 私は受験勉強をしなければならない。

 受験勉強をしなければ、第一志望の短大に合格できない。

 他の人は、とっくに受験勉強を始めている。

 私はかなり出遅れている。

 亮太のことは忘れて、受験勉強に励むしかない。

 そう何度も自分に言い聞かせた。






 スーパーのアルバイトは週に二日に減らして、その他の時間は受験勉強に当てた。

 走ることもせず、美咲と友紀とまっちゃんとも遊ばず、春子さん家にも行かず、黙々と受験勉強に励む毎日。
 
 亮太の三回忌は、思い出の海には行かず、部屋で受験勉強をして過ごした。

 頑張るしかない。頑張るしかない。今はただ頑張るしかない。

 そう自分に言い聞かせながら、私は受験勉強を続けた。
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