透き通る季節の中で
 二次会の出席者は、二十五名。

 まっちゃんの友達。春日さんの友達。

 みんなでわいわいとお酒を酌み交わす。



「三十路までに結婚するぞ!」
 友紀が突然、大きな声で叫んだ。

「結婚する相手がいないのに、どうやって結婚するのよ」
 さっそく美咲がツッコミを入れた。

「今から見つけるのよ!」

「合コンばかり行ってたら、軽い女だと思われて、彼氏ができなくなるよ」

「いちいちうるさいな! レズの美咲に言われたくないわよ!」

「レズじゃないって言ってるでしょ!」

 大量にお酒を飲んでいるせいか、友紀と美咲の口喧嘩はヒートアップしていく。

 みんな楽しくお酒を飲んでいるというのに。

 二人の迫力に圧倒され、私はおたおたするばかり。

 まっちゃんは困惑している。

 春日さんが止めに入り、友紀と美咲は口喧嘩をやめた。

 反省しているのか、友紀と美咲は、まっちゃんと春日さんに向かって頭を下げた。

「熱くなって、ごめんね」
 友紀が美咲に謝った。

「ううん。あたしがいけなかったの」

 友紀と美咲は笑顔で握手を交わした。

 まっちゃんと春日さんは安堵の表情を浮かべている。

 私も安心するとともに、嬉しく思った。

 中一からの長い付き合い。口喧嘩くらいで友情は壊れたりしない。





「そろそろ始めようか」
 ビンゴゲームの司会は私。

 景品は、全員に当たるようになっている。



 まっちゃんは、お揃いのマグカップが当たった。

 春日さんは、バーベキューセットが当たった。

 美咲は、アルバムCD。

 友紀は、うまい棒セット。

「う、うまい棒……」
 残念そうな顔でつぶやいた友紀は、うまい棒の一気食いを始めた。

 十本ものうまい棒が、みるみる減っていく。

「口の中がパサパサになっちゃった」
 うまい棒の粉を吐きながら言った友紀。
 
 みんなの明るい笑い声がこだまする。

 友紀のおかげで、二次会も大いに盛り上がった。
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