透き通る季節の中で
 まっちゃんと春日さんの結婚式から五日後の夜、友紀から電話が掛かってきた。

「明日の夜は暇?」
 この時点で察しはつく。

「特に予定はないけど、何かあるの?」
 私はわからないふりをした。

「合コンがあるんだけど、よかったら、参加しない?」

「いつも断ってるでしょ」
 
「来る予定の人が、急に来られなくなっちゃって、女子のメンバーが足りないのよ」

「それなら、他の人を誘ったらどう?」

「みんな予定があるみたいで、咲樹しかいないのよ」

「…………」

「一生のお願いだから、お願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い。おねがーい」

「……わかったから、そんなにお願いしないでよ」

「参加してくれるの?」

「う、うん」
 私は渋々ながら返事をした。

「うほほーい! やったあ! それじゃあ、明日の予定を説明するね」

「うん」

 明日の合コンは、友紀の専門学校時代の友達が主催したとのこと。

 幹事は、椎名由香里さん。私は会ったことがない。

 会場は、和風居酒屋の個室。開始時間は、夜の七時。

 私を入れて、三対三の合コン。

 男子のメンバーは、椎名さんの高校時代の同級生。

「簡単に自己紹介をして、ちょっと雑談したら、帰っていいからね」

「うん。わかった」

「約束だよ。絶対に来てね」

「うん」

 生まれて初めての合コン。

 あまり気乗りはしないけど、友紀と約束したから、行かなければならない。
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