透き通る季節の中で
安藤さんの腰を掴んだまま、流れゆく街の風景を見つめていたところ、オートバイが停車した。
「どうですか。慣れてきましたか」
「はい。少し慣れてきました」
「そうですか。もうすぐ海岸線です」
もう海岸線?
私の感覚では、ここまで十分くらい。
腕時計の時刻は、十一時七分。
出発したのは、十時十分くらい。
一時間くらい走ったことになる。
「海岸線は信号が少ないので、これからもう少し、スピードを上げますね」
「はい」
「これからさらに風が強くなりますので、僕の体をしっかり掴んでくださいね」
「はい」
安藤さんは前を向いて、オートバイを発進させた。
進行方向に海が見える。
だんだん海に近づいていく。
あの海とは違う海。
私はホッと胸を撫で下ろした。
右側に海を望む海岸線に入り、安藤さんはオートバイの速度を上げた。
言葉では表現しがたい、甲高いエンジン音が耳に響き渡る。
いったい何キロで走っているのだろう。
スピード違反で捕まらないだろうか。
心配になってしまうほどの速さ。
私は怖くなって、まだ目を閉じてしまった。
とにかく風の音が大きい。
安藤さんの体が風を遮ってくれている。
「どうもお疲れ様でした」
安藤さんの声が聞こえた瞬間、私は目を開いた。
目の前に海が見える。
青い海が見える。
心地よい海風が吹き抜けている。
安藤さんがヘルメットを脱いで座席から降りたので、私もヘルメットを脱いで座席から降りた。
「ちょっと早いですが、あのレストランで食事をしましょうか」
「あ、はい」
人気店なのだろうか、レストランは大混雑。
駐車場は満杯。
お店の外まで行列ができている。
「もう少し、早く来ればよかったですね」
苦笑いをした安藤さんは、ライダースーツの上着を脱いで、Tシャツ姿になった。
腕が太くて胸板が厚い。
さすが大工さん。と私は思った。
「どうですか。慣れてきましたか」
「はい。少し慣れてきました」
「そうですか。もうすぐ海岸線です」
もう海岸線?
私の感覚では、ここまで十分くらい。
腕時計の時刻は、十一時七分。
出発したのは、十時十分くらい。
一時間くらい走ったことになる。
「海岸線は信号が少ないので、これからもう少し、スピードを上げますね」
「はい」
「これからさらに風が強くなりますので、僕の体をしっかり掴んでくださいね」
「はい」
安藤さんは前を向いて、オートバイを発進させた。
進行方向に海が見える。
だんだん海に近づいていく。
あの海とは違う海。
私はホッと胸を撫で下ろした。
右側に海を望む海岸線に入り、安藤さんはオートバイの速度を上げた。
言葉では表現しがたい、甲高いエンジン音が耳に響き渡る。
いったい何キロで走っているのだろう。
スピード違反で捕まらないだろうか。
心配になってしまうほどの速さ。
私は怖くなって、まだ目を閉じてしまった。
とにかく風の音が大きい。
安藤さんの体が風を遮ってくれている。
「どうもお疲れ様でした」
安藤さんの声が聞こえた瞬間、私は目を開いた。
目の前に海が見える。
青い海が見える。
心地よい海風が吹き抜けている。
安藤さんがヘルメットを脱いで座席から降りたので、私もヘルメットを脱いで座席から降りた。
「ちょっと早いですが、あのレストランで食事をしましょうか」
「あ、はい」
人気店なのだろうか、レストランは大混雑。
駐車場は満杯。
お店の外まで行列ができている。
「もう少し、早く来ればよかったですね」
苦笑いをした安藤さんは、ライダースーツの上着を脱いで、Tシャツ姿になった。
腕が太くて胸板が厚い。
さすが大工さん。と私は思った。