透き通る季節の中で
 上司に頭を下げて、十一月二日から六日までの五日間、休暇をもらった。

 二日から四日まで、二泊三日で温泉旅行。

 旅の目的地は、奥日光。

 さっそくネットで旅館を予約した。

 和室のツインルーム。

 食事は、二人分用意してもらう。

 

 出発日の前日の夜、新地の両親に宛てた手紙を書いた。

 その手紙を郵便ポストに投函した。



 二日の早朝、後部座席に新地のヘルメットを乗せて、奥日光に向かって出発した。

 一時間おきくらいに休憩を挟みながら、一般道を走り続けて、お昼過ぎに栃木県に入った。

 山道を走るにつれて、紅葉が濃くなっていく。

 見晴らしの良い峠の駐車スペースに、オートバイを止めた。

「ちょっと待っててね」

 新地のヘルメットに声を掛けて、座席から降りた。

 赤色の落ち葉、茶色の落ち葉、黄金色の落ち葉。

 拾い集めた落ち葉をジップロックに入れた。

「もう少しで旅館に着くからね」

 新地のヘルメットに声を掛けて、オートバイを発進させた。
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