透き通る季節の中で
 日が落ちる前に家に着いた。

 真っ先に郵便受けを確認した。

 一通の手紙が入っていた。

 差出人は、新地のお父さん。

 その場で封を開けて読んでみた。
 


 とても丁寧なお手紙をお送り頂きまして、有難うございます。

 早いもので、新地が旅立ってから、一年が経とうとしています。

 私も妻も、以前の元気を取り戻しつつあります。

 咲樹さんのお手紙は、じっくりと読ませて頂きました。

 妻も読んでおります。

 咲樹さんのお気持ちはよくわかりました。

 新地もそれを望んでいたと思います。

 天国で安心しているのではないでしょうか。

 私も妻も、新地と同じ考えです。

 新地のために、旅をしてくだって、有難うございます。

 十一月五日、新地の命日に来ていただけるのですね。

 大したおもてなしはできませんが、妻と共にお待ちしております。



 まだ泣かない。

 ここで泣いてはいけない。

 泣くのは、全てが終わってから。






 ライダースーツを着たまま、奥日光の森で拾ってきた落ち葉を床にばら撒いた。

 姉さんが拾ってくれた落ち葉。

 ちゃとらんが拾ってくれた落ち葉。

 自分で拾った落ち葉。

 綺麗な落ち葉を厳選して選んだ。



 赤色の落ち葉が十二枚。

 茶色の落ち葉が七枚。

 黄金色の落ち葉が九枚。

 二十八枚の落ち葉をジップロックに入れた。

 そのジップロックを缶のケースに入れた。

 テレビで天気予報を見た。

 明日も、さわやかな秋晴れの予報。
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