透き通る季節の中で
 霊園の門をくぐったところで、長谷川さんと峰岸さんとすれ違った。

「こんにちは。お久しぶりですね」
 長谷川さんが私に挨拶してくれた。

「こんにちは」
 峰岸さんも挨拶してくれた。

 二人とも笑顔。

「こんにちは。どうもお久しぶりです」
 長谷川さんと峰岸さんに向かって頭を下げた。

「お元気そうですね」

「はい。おかげ様で」

「椎名から聞いたんですが、CBRに乗っているそうですね」

 たぶん、友紀が椎名さんに話したのだと思う。

「はい。乗っています。今日は、電車で来ました」

「そうなんですか。僕たちも、CBRを買ったんですよ」

「すごいですね」

「新地のようには乗れませんけどね」
 
「私もまだまだです」

 三人で立ち話を続けた。

 その会話の中で、長谷川さんが、私にこう言ってくれた。

 新地は、幸せ者だったと思います。

 そうだと思いたいし、そうだと嬉しい。
 


「それでは、僕たちは行きます。またいつか、お逢いしましょう」

「はい」

 長谷川さんと峰岸さんは、霊園の門をくぐっていった。



 言葉では表現しにくい、甲高いエンジン音。

 新地と私のオートバイと同じ音が聞こえてくる。

 男の友情は、格好良いと思う。
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