透き通る季節の中で
 食事会の席で、カモメンさんのことをみんなに話してみた。好きになってしまったことも話してみた。

「一目惚れみたいなものでしょ? 好きなら、告白したほうがいいと思うよ」
 美咲の意見。

「まだ早いんじゃない?」
 友紀の意見。

「彼女や妻子はいるのかな?」
 まっちゃんの意見。

「彼女や妻子がいるのか、遠回しに聞いてみたらどうかな」
 和也さんも意見を言ってくれた。

 その後も四人は、いろんな意見を言ってくれた。



 どうしていいのか決められず、電話で春子さんにも話してみた。

「好きなら好き。それでいいと私は思うんだ。もう少し話してみて、良い人だと思えたら、思い切って告白すればいいんじゃないかな」
 
 春子さんの意見が決め手になった。



 浮かれてばかりはいられない。
 
 これまでの自分の過去を振り返り、冷静に落ち着いて考えてみた。

 海上保安官という仕事は、海での活動が多い。

 カモメンさんも危険な目に遭っているかもしれない。

 目には見えない得体の知れない力。

 私のせいで、最悪の事態になってしまったら……。

 でも、あの日から、悪いことは何も起きていない。

 カモメンさんは、遠く離れたところで暮らしている。

 ネット上の付き合いだけなら。

 会わなければ大丈夫。

 もし、私と付き合ってくれたら、最低でも半年間、遠距離恋愛を続ける。

 それで、カモメンさんが元気なままだったら、直接会ってみる。

 そう考えて、私は決断した。
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