透き通る季節の中で
第15章 神様なんていない
 七月七日、七夕の夜。

 赤ワインを飲みながら、駿介と電話で話し合い、初デートは、約三ヶ月後の、十一月二十日、土曜日に決まった。

 岩手県は、神奈川県より、カモメの飛来が早く、その頃には、カモメがたくさん見られるという。

 特別に、灯台の中に入らせてくれると言ってくれた。

 その灯台からの景色は、絶景だという。

 どこの海岸に行くのか、どの灯台に行くのかは、当日のお楽しみとのこと。

 駿介は、変わらず元気な様子。もちろん、私も元気。

 七夕は、いつも曇りか雨なのに、今年は晴れている。

 このまま何事もなく、無事に駿介と会えますように。

 いちばん明るい星に願いを込めて。



 八月五日、木曜日。

 美咲が第一子となる男の子を出産した。

 赤ちゃんの体重は、三千二百五十七グラム。

 名前は、走太くん。

 夫婦で話し合って決めたという。子供に夢を託して。

 美咲と和也さんの血筋を引く子供なら、足の速い子に育つと思う。

 もしかしたら、オリンピックに出場できるかもしれない。



 友紀とまっちゃんは、第二子を妊娠中。

 美咲も友紀もまっちゃんも、着々と家族を増やしている。

 あとは、私だけ。

 友達を安心させるために、私も必ず幸せな家庭を築いてみせる。
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