透き通る季節の中で
　今日は、週に一度のお休み。

　トレッキングシューズを履いて、手作りのお弁当と空の水筒と雨具の入ったリュックを背負って出発。

　めいいっぱい、自由を楽しむ。



　原生林の森の中を歩いているうちに、雨が降り出してきた。

　ひと月に三十五日も雨が降るという屋久島。

　屋久島で暮らすようになってから、雨が好きになった。

　

　清らかな湧き水を水筒に入れて、白谷小屋近くのベンチでお弁当を食べる。

　今の私にとっては、至福の時。

　早起きして作った玉子焼きがすごく美味しい。

　

　白谷雲水峡の森は、いつ来ても美しい。

　屋久杉の森

　苔の森

　水の森

　生命の森

　神秘の森

　コダマはいないけど、可愛らしいヤクシカがいる。

　歩いているだけで、元気になれる。

　私に大きな元気を与えてくれる。

　

　太鼓岩からの景色は、最高に素晴らしい。

　急な斜面を登る価値は十分にある。

　みんな知らないのだろうか、いつ来ても人は少ない。

　今日は、一組の若いカップルがいる。

　絶景を楽しんでいるように見える。

「こんにちは」

「こんにちは」

「私たちは京都から来たんですが、あなたはどこから来たんですか？」

「屋久島で暮らしています」

「あ、そうなんですか」

「はい」

「私たちの写真を撮っていただけませんか？」

「いいですよ」

　写真撮影は、よく頼まれる。
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