透き通る季節の中で
シルバーウィークが終わり、観光客が減ってきた。
この時期は、一人旅の人が多い。
みんな何かを求めて、大自然の宝庫、屋久島を訪れるのだと思う。
「亀の手ラーメンですね。かしこまりました」
今日はまだ十二杯目。
なんとか三十杯は売りたい。
「あー、やっと見つかった」
「うほほーい! 咲樹だあ!」
入り口の方から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
なんだか懐かしい声。
私はお盆を持ったまま、入り口の方に振り向いた。
見覚えのある人が立っている。
「…………美咲? 友紀?」
「そうだよ! 久しぶりだね!」
声を揃えて言った美咲と友紀は、ものすごい笑顔。
突然の訪問に、私はただただ驚くばかり。
「元気そうだね」
美咲と友紀は、再び声を揃えて言った。
ちょっと老けた感じがするけど、二人とも元気そうに見える。
「う、うん」
私は驚いたまま、小さな声で返事をした。
「急にいなくなっちゃったんだもん。あれからずっと心配してたのよ」
「そうだよ。私たちに内緒で屋久島で暮らしているなんて」
美咲も友紀も怒っているようには見えない。
ずっと笑顔のまま。
でも、謝らなければならない。
「本当に、ごめんなさい」
美咲と友紀に向かって頭を下げた。
何度も何度も頭を下げた。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。
「嬉しいから、許してあげる」
美咲が笑顔で言ってくれた。
「うほほーい! 咲樹もおばちゃんになった!」
懐かしい叫び声を上げた友紀は、なんだかとっても嬉しそう。
「屋久島で暮らして、何年になるの?」
美咲が尋ねてきた。
「二年だよ」
「二年も暮らしてるんだ」
「うん。どうして私の居場所がわかったの?」
「食いしん坊ちゃんが導いてくれたんだよ」
美咲が答えてくれた。
「窓から外を見てみて!」
友紀が大きな声で言った。
「う、うん」
レストランの窓から空を見上げてみた。
一羽の白い鳥が飛び回っている。
カモメのように見える。
額に、丸い模様がある。
この嬉しさ、どう表現すればいいのか……
「喜ぶのはまだ早いわよ。咲樹に会わせたい人がいるの」
美咲が嬉しそうな顔で言った。
いったい誰なのか……
「まっちゃんかな」
「ハズレ」
「春子さんかな」
「ハズレ」
「もしかして、姉さんとちゃとらんかな」
「ハズレ。当たらないと思うから、教えてあげる」
「う、うん」
「カモメンさんだよ」
「…………え、本当に?」
「うん。お店の外で待ってるよ」
どうやら、本当のよう。
あれから、七年も経っている。
信じられないどころの話じゃない。
「早く外に出なよ!」
大きな声で言った友紀が私の背中を押した。
「う、うん」
人生最高のドキドキ感。
何度も大きく深呼吸をして、扉を開けて外に出た。
この時期は、一人旅の人が多い。
みんな何かを求めて、大自然の宝庫、屋久島を訪れるのだと思う。
「亀の手ラーメンですね。かしこまりました」
今日はまだ十二杯目。
なんとか三十杯は売りたい。
「あー、やっと見つかった」
「うほほーい! 咲樹だあ!」
入り口の方から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
なんだか懐かしい声。
私はお盆を持ったまま、入り口の方に振り向いた。
見覚えのある人が立っている。
「…………美咲? 友紀?」
「そうだよ! 久しぶりだね!」
声を揃えて言った美咲と友紀は、ものすごい笑顔。
突然の訪問に、私はただただ驚くばかり。
「元気そうだね」
美咲と友紀は、再び声を揃えて言った。
ちょっと老けた感じがするけど、二人とも元気そうに見える。
「う、うん」
私は驚いたまま、小さな声で返事をした。
「急にいなくなっちゃったんだもん。あれからずっと心配してたのよ」
「そうだよ。私たちに内緒で屋久島で暮らしているなんて」
美咲も友紀も怒っているようには見えない。
ずっと笑顔のまま。
でも、謝らなければならない。
「本当に、ごめんなさい」
美咲と友紀に向かって頭を下げた。
何度も何度も頭を下げた。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。
「嬉しいから、許してあげる」
美咲が笑顔で言ってくれた。
「うほほーい! 咲樹もおばちゃんになった!」
懐かしい叫び声を上げた友紀は、なんだかとっても嬉しそう。
「屋久島で暮らして、何年になるの?」
美咲が尋ねてきた。
「二年だよ」
「二年も暮らしてるんだ」
「うん。どうして私の居場所がわかったの?」
「食いしん坊ちゃんが導いてくれたんだよ」
美咲が答えてくれた。
「窓から外を見てみて!」
友紀が大きな声で言った。
「う、うん」
レストランの窓から空を見上げてみた。
一羽の白い鳥が飛び回っている。
カモメのように見える。
額に、丸い模様がある。
この嬉しさ、どう表現すればいいのか……
「喜ぶのはまだ早いわよ。咲樹に会わせたい人がいるの」
美咲が嬉しそうな顔で言った。
いったい誰なのか……
「まっちゃんかな」
「ハズレ」
「春子さんかな」
「ハズレ」
「もしかして、姉さんとちゃとらんかな」
「ハズレ。当たらないと思うから、教えてあげる」
「う、うん」
「カモメンさんだよ」
「…………え、本当に?」
「うん。お店の外で待ってるよ」
どうやら、本当のよう。
あれから、七年も経っている。
信じられないどころの話じゃない。
「早く外に出なよ!」
大きな声で言った友紀が私の背中を押した。
「う、うん」
人生最高のドキドキ感。
何度も大きく深呼吸をして、扉を開けて外に出た。