透き通る季節の中で
 この日も中村さんと話しながら家に向かった。

「足の具合はどう?」
 中村さんが心配そうな声で尋ねてくれた。
「まだ痛いです」
 私は正直に答えた。無理をして歩いたため、右足も左足もかなり痛い。
「その様子だと、あと二、三日間は痛いままだと思うから、ゆっくりと歩いて帰りましょうか」
「はい」
 私は歩くペースを落とした。
 中村さんは、私のペースに合わせて歩いてくれている。
 
 こんなに優しく接してくれるのは、部員数が少ないからなのだろうか。
 友達と言える友達がいない私は、そんなことを考えてしまう。
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