透き通る季節の中で
 今日の帰り道、いつも元気で明るい中村さんが、走っているときは無心になれると言っていた。

 無心で走るということは、何も考えないで走るということ。


 私は走っているときに、何かを考えているのだろうか。
 
 辛い。
 きつい。
 息が苦しい。
 足が痛い。
 早く練習が終わればいいのに。
 といったような、後ろ向きなことばかりを考えているような気がする。
 
 私は自分の部屋で過ごしているときも、空を眺めているときも、お風呂に入っているときも、常に何かを考えてしまっているような気がする。

 私はまだまだ無心で走ることはできない。
< 35 / 268 >

この作品をシェア

pagetop