透き通る季節の中で
 私は今夜もご飯をおかわり。
 とっても気分が良いので、いつもの何倍も美味しい。

「ねえ、咲樹。最近、前より明るくなったみたいだけど、何か良いことでもあったの?」
 お母さんが私に尋ねてきた。
「うん。友達が出来たんだ。陸上部の子だよ。私よりも足が速いんだ」
 自分でも声が弾んでいるのがわかる。
「そうだったの。良かったわね」
 お母さんが微笑みながら言った。
 お父さんも嬉しそうな顔をしている。

 私はすごく嬉しくなって、またご飯をおかわりした。


 友達がいなかった小学生時代のことは、もう振り返る必要はない。
 また明日からも、ご飯をいっぱい食べて、美咲と友紀と一緒に前を向いて走り続けていくだけ。
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