透き通る季節の中で
 ピアノ教室を辞めてからは、学校と家を往復するだけの日々が続いた。
 
 いつもの時間に起きて、家族四人で朝ご飯を食べて、近所の子供たちと列を組んで歩いて学校へ向かう。

 クラスのみんなと一緒に授業を受けて、給食を食べて、自分の席に座ってぼーっとしている間に、お昼休みが終わってしまう。

 午後の授業を受けて、図書室に行って本を読んで、帰りは一人で歩いて家に帰る。

 大人数でおしゃべりを楽しみながら歩いている子たちを見ても、別に寂しいとは思わない。
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