透き通る季節の中で
 私はスムーズに問題を解くことが出来たけど、美咲と友紀は試験の出来が思わしくなかったのか、ずっとうつむいたまま歩いている。

 どうにかして、美咲と友紀を元気づけなければならない。
 
「ねえ、駅まで走ろう。心配なのはわかるけど、走って走って走りまくって、気分転換しようよ」
「そうね。いつまでも心配してても仕方がないもんね」
「よし! 今は何もかも忘れて! おもいっきり走るわよ!」

 久しぶりに三人で走った。
 美咲と友紀はもの凄い勢いで走り続けている。
 二人の後ろ姿がどんどん小さくなっていく。

 うおおおおおおおおおおおおお! 美咲に負けてたまるものか!

 友紀の叫び声が聞こえてくる。

 
 
 この日から、私たち三人は、ひたすら走り続ける日々を送った。
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