透き通る季節の中で
 この日の放課後、私たちは教室でジャージに着替えて、さっそく長距離部の練習に参加した。

 今のところ、一年生部員は、美咲と友紀と私との三人だけ。

 川端先生が言っていたとおり、長距離部の部員数は少ない。

 今日の部活参加者は、男子が三名。女子が私たちを含めて、八名。

 グラウンドに集まっている短距離部は、三十人以上もいる。

 どうして長距離部は人気がないのだろう。と私は首を傾げてしまう。

「あまり盛んじゃなさそうね」
 美咲がつぶやくように言った。
 
 私たちの高校は、陸上の名門校でも何でもない。平凡な公立高校。


 
 部長は、三年生の橘久美子先輩。私たちが通っていた中学校と同様に女性。

 部活の雰囲気はアットホームな感じ。

 美咲、友紀、私の順に、先輩部員のみなさんに自己紹介をした。

「三人とも陸上経験者なのね」
 橘先輩が笑顔で拍手を送ってくれた。

 他の先輩部員も笑顔で拍手を送ってくれている。
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