天満堂へようこそ
意外なことに薬を自分で煎じているのに、
部屋にも店にもそのような薬品の臭いなどは一切しない。

臭い消し・防音・感知など様々な魔方陣が部屋中に書かれているからにすぎないのだが、
誰にも見ることはできないようになっている。

のんびりお茶を飲みながらそんなことを考えていると、
こんにちは。
と近所のおばぁちゃんがやって来た。


「いらっしゃい。
今日は何にします?」

「トイレットペーパーと、ティッシュ、後絆創膏もらえるかねぇ」

言われたものを用意するが、腰がかなり曲がったおばぁちゃんなので持てるはずもない。

いつものごとく、代金をもらい裏の自宅まで運ぶ。

店の入り口にはブザーを押してくださいとの張り紙。

このブザーも鳴らせば自分にしか聞こえない特殊なものだ。
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