天満堂へようこそ
そんな状態が1週間ほど続いた日の夕方。

「いらっしゃいませ」


あの少年だ。

店内をうろついたあと、カウンターでモジモジしながら
「薬が欲しいんですが...」と言う。
何の事かはわかってはいたが、
「どのようなお薬ですか?」と聞き返す。

暫くの沈黙のあと、
「ネットで見たんです。
ここでは何でも治る薬があるって!
売ってもらえませんか?」

必死さは伝わってきたが、別で売れるものは人外用に売っている薬しかない。
それも基本高額だが。

「ここは普通の薬屋ですよ?
風邪でしたらこちらの...」

「そうじゃなくて!
見たんです。ネットで。
不治の病も治す薬がここにはあるって。」

「ありませんよ。
ここは薬局です。お店にある薬しかおいていませんよ」

「でも...」

「きっと面白おかしくかいた人がいるんでしょう。
気を付けてお帰りください」
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