天満堂へようこそ
裏の家まで運ぶと、いつも悪いねぇとお茶とお茶菓子が出される。

もちろん遠慮なく頂く。

しかし、今日はやけに犬の鳴き声がうるさい。

「犬...飼ってましたっけ?」

「庭でねぇ、産んじゃったみたいなのよ。
あなた要らない?
何てゆう種類かまでは分からないんだけど。
後この子だけなの」

ちょっと茶色い斑があり、思ったより可愛い顔をしている。

「私は構いませんけど、おばぁちゃんはいいんですか?」

「私じゃ面相見れないもの。

近所の獣医さんに来てもらって注射とかは済ませたんだけど、
お散歩にもいけないし。
若い人に見てもらった方がいいと思うのよ」

じーっと目を合わせるとすぐになついてきたので、
可愛がらせてもらいますねと犬をもらう。

こんなに簡単に貰っていいのかとは思ったが、
足にくっついてきているので無理に離すことができなかった。
それだけなのだが、犬を飼ったことがなかったため興味もあった。
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