天満堂へようこそ
店につきまだ客は来ていないことを確認し、
張り紙を剥がす。

店に犬の番犬とゆうより、看板犬のように置いている店はいくつかある。
この犬はもらってきてからまだ鳴かないし出てもいかないので
店に置いてある犬用シートを自宅におき、名前を考える。
考えながらも喋れないとつまらないなと作りおきの薬から少し調合し直し犬に与える。

「聞こえるか?
聞こえたら話してみるといい。
私にしか聞こえんから構わん」

「聞こえます。
名前をつけてください」

名前...か。

「ここは薬屋でな。
天満堂(てんまんどう)と言う。
私の名前は、天満 結月(てんま ゆづき)と言う。
わかったか?」

「はい」

「そうだな、私が人間ではないことはわかるか?」

「はい」

「では、これを舐めろ。
そうしたら、私と一緒に何処へでも行けるようになる」

自分の魔力を練り込んだ柔らかい玉を口許に差し出す。

口に含みすべて舐めきったところで名前を思い付いた。

「ムーンと言うのはどうだ?
私の月の文字からなのだが」

「はい」
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