ろ う そ く


「おかえり。
あんた、待ってても遅いから先帰ってんで?」


帰ったら、お母さんが心配そうに私を出迎えた。



…そっか。

私、病院行ってたんや。



「武山が、おったから…」


「武山って?昔好きやった子?」


「…うん。」


「よかったやん!!」



よかったのかも、知れない。


この後、あんな出来事がなければ。

よかったのかも知れない。



私は複雑な気持ちをかかえたまま、紛らわすように眠った。



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