ろ う そ く

私と先輩は、初めて一緒に帰った。



「なぁ、こないだの事やねんけど…」


「ごめん…。」


先輩が話を切り出しても、私にはその言葉しか言えなかった。



私は先輩を騙してきた事になるんかなあ。

“彼氏”って言いながら、全然愛せてなかったんかなあ。



「なんで…?」


「ごめん。
自分でもなんでかわからへん。
先輩の事が好きやのに、どうしても頭から離れへんねん。」


「そっか…。
じゃあ、美輝に1つだけ覚えててほしい。
2つの道があってどっちかを選んだら、何か1つを失うって事。」



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