ろ う そ く
私は、混み合う駅のホームで、自分の中に何かを刻み付けるように先輩に抱きついた。
「ありがとう」
そう言う先輩も、心の奥では傷ついてたと思う。
私が傷つけてしまった。
「ごめんなさい…」
私は何度も何度も謝った。
謝って済む問題ではないのはわかってる。
だけど、私にはそれくらいしかでけへんから。
先輩は、何にも言わずに私の意見を聞いてくれた。
自分は、こんなくだらない年下の女に傷つけられたのに。
先輩ほど包容力がある人はおらんやろう。
私は今でもそう思う。