ろ う そ く

「――‥おぅ。」



私はあまりの嬉しさに、自分がずぶ濡れなのも忘れて武山に抱きついた。



「‥俺まで濡れるやんけ。」

武山の言葉よりも、ここに武山と居られる事が信じられなくて。


どうしてもそれを、自分の体で味わいたくて。



「ありがとう‥―っ。」


目から溢れ出す涙は、私の感情を更に素直にさせた。



「ずっと、ずっと、ずっと…
好きやった。
武山の事ばっかり考えててん。」


「わかった。
わかったから‥とりあえず、泣きやもう？」



武山は、なかなか泣きやまない私にタオルを貸してくれた。


そのタオルは今も

私の手の中に。