ろ う そ く


「ごめんな。せっかく会えたのに。」



私が帰る時、裕史はそう言った。



「ううん。うちもすっきりした♪
タオル、洗って返すから。」


「別にいいのに…」


ただ、洗って返そうっていう気持ちだけじゃなく、本当は裕史に会うきっかけが欲しかったから。


「じゃあ、またね。」


「うん。いつでも来てな。」




今度は、離れへんよ…

ていうか、離さへんよ…

私はもう二度と、あんなつらい思いはしたくない。





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