天満堂へようこそ -2-
「朝食はテーブルの上に。パンは......」

「自分で焼きますので」

パンを焼きバターを塗りながら、楽しそうに掃除機に乗っているムーを見て和む。この一年、たまにこうやってリアムが来てくれ世話を焼いてくれている。
魔界の王子ルーカスも来てくれるのだが、もっぱら敵視しているリアムに負けたくないのか料理本を見ながら食事を作ってくれる。ムーと遊ぶことはほとんどないが、前よりも俺やムーに気を使ってくれているのはわかる。
ユーリもたまに来てはくれるが、もっぱら捜索の話と幻界の女王、結月のお母さんからの言伝てなどが多い。かなり疲れているようなので心配になるぐらいだ。
そんなことを考えながら食べていると、掃除が終わったのかダイニングにムーと一緒に来て座る。

「あまり考えないでください。今できることを私たちはしていきましょう。と言っても私にはこのぐらいしか出来ることはないのですが」

「そんなことないです。すごく助かってます。ご飯も美味しいし」

「ルーカスも来たときには私と同じことをしているのではないですか?」

「そうですね。なんだか二人が張り合ってるようにも見えますが?」

「お互い負けず嫌いなだけですよ。それに姫が帰ってきたときには誉められたいとの思いも多少は」

「俺も褒めてもらえるのかなぁ?」
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