天満堂へようこそ -2-
「看板がある。えっと、釣りの方は右側の柵の先までお進みください。ボートの方は左側でお楽しみください。だって。ちゃんと分かれてるんだな。何が釣れるんだろ?」

「フナやニジマスと言った所じゃよ」

え?

振り向くといつの間にかおじいさんが後ろにたっていた。
ムーが鳴かないってことは気付かなかったのか?とムーを見ると困ったような顔をしている。

見た感じは俺より小さい。160も無いだろう。俺でさえ173cmはある。

栗色の着物を着て、上の羽織は緑と落ち着いた感じに見えるが、突然現れた感じといい、怪しまないわけには行かない。

「そう警戒せずとも良い。儂は昔からこの土地におる者じゃ。名前は時代ごとに変わるがのぅ。今は森の精霊さんとか鎮守の……何じゃったかな?言われておる。が、末端でも一応は樹木の神じゃよ。このあたりを任せられておる」
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