SNOW
2、
紀元一三四九年、そうミランカスター家の記録書によれば、この年我が主なるアーク王は天界からこの人間界に降りてきて、ミランカスター王国の王位継承者として王家に引き取られた。

この時、ミランカスターの都は一日中光で満ちていたという。

だが、思えばこの日からアーク王の悲劇の幕が上がったのである。

私、ジェミラス=メリンジャールは我が唯一の主であるアーク王の二十四歳という短い生涯をここに記述する。

もちろん、ここに記述することは真実であり、私の想像でも偽りでもない。



「逆らう者は皆殺せ!女も子供もだ」

背筋が寒くなるような高笑いが周囲に響く。

その高笑いの主である仮面を被った背の高い男は、一年ほど前にミランカスター王国の王となったアークだった。

辺り一面火の海で、女、子供は逃げ惑っている。
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