SNOW
「え?ですが、サロールはまだ十七ですよ。こんな広大な領土を彼に与えるのはまだ早すぎるのではないですか?」

驚きを隠せない表情でジェミラスはアークに進言するが、アークはそんなジェミラスを見て急に笑い出した。

「自分のことを棚に上げておいてよくそんなことが言えるな。五年前、お前が私のところへ来たとき、十六のお前に当時皇太子だった私はここと同じくらいの領土を与えたがそれも早かったのか?」

アークの言葉にジェミラスは無言になる。

「十代で諸侯になるのは早いかもしれない。だが、私は能力のない奴に領土を与えた覚えはない。五年前、ただの新参者で歩兵でしかなかったお前が、今ではミランカスターの宰相だ」

ジェミラスを見据えながら、アークはフッと微笑する。

アークが人を褒めるのは珍しいことだった。

「全てアーク様のお陰です」

ジェミラスはアークの足元にひざまずくと頭を垂れた。
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