難波少女、千佳
全部、雄介のせいだよ?
あんなことを言うから。

雄介を忘れるために、毎日のようにこんなことしてた。

でも、そのたびに体が穢れていく気がした。


ある日、春に屋上へ呼び出された。



「どしたん?春。呼び出すなんて珍しい。ってか、初めてか。」

なんて、軽く冗談を言うと春は真剣なまなざしでうちを見る。

「なぁ、ちー。隠さんといて。うち、見てんで。ちーが知らん男と居るの。」



「雄介に聞いたら、別れた。って言うし。何があったん?」


うちは春の優しい言葉に涙を流した。
心のどこかでは、うちを救って欲しかった。

だから、話せたんやで。全部春に。



「だ、だからね・・あんなことしちゃった。だって・・だって悔しかったもん。」

泣きながら春に言うたから、春には何言うてるかわからんかったかもしれへんけど、静かに何も言わんと聴いてくれた。


「うん、うん。わかった。大丈夫やで。うち居るやん。もう、止めよ?」


そう言って、背中をさすってくれた。


「うん、ごめん。止める。ありがとう、春。」


ありがとう、とつぶやきながら気が済むまで泣いた。

隣で春の涙も何粒か見えた。
< 19 / 41 >

この作品をシェア

pagetop