君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
ずっとこういう幸せな日々が続くんだろうなって思ってたけど、それをあの事件が全部壊したんだ。
血がべっとりついた亜紀の制服、傷だらけの顔、両親の絶望に染まった声。
亜紀が画材店で買った新品のキャンバスは汚れて、使いものにならなくなってしまっていた。
数日後亜紀は目を覚ましたものの、後遺症でもとの生活に戻ることは難しくて。
でも、どうにかして治せないかと全然知らない医療系の本を読み漁って、試せることは何でもやってみた。
中学生ができることなんかたかが知れてたけど。
病院に1人でいると不安だろうから、毎日通って亜紀が眠るまで傍にいた。
『伊織、私、これからどうなっちゃうのかな』と泣きじゃくった日には人目も気にせずに抱きしめて、キスをして。
そんな日々を繰り返していくうちにだんだん両親も亜紀も落ち着いてきて、笑顔を見せるようにまでなった。
ゆっくりでいいから、こうして前に進めばいい。
これからやらなきゃいけないことには皆で一緒に立ち向かっていけばいい。
「伊織のこと、ずっと愛してる。いつまでも、何があろうとも。愛してる」