君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
「え」
「疲れた顔してる」
類が本来の喋り方で顔を覗き込んできた。
「最近は文化祭の準備で忙しかったから、そのせいかも」
「それもあるだろうけどさ。別の理由も、あるんじゃないのか」
「ないよ」
「嘘。誤魔化そうとするとそうやって視線を下げる癖ある」
「……敵わないな」
そんな些細な変化気づくのって、類くらいだ。昔からずっと一緒にいる類だからこそ、そういうこともバレてしまう。
「他に理由があるのは、ほんと。でも大したことじゃない」
「……お前の、その人を頼らない性格どうにかしろよ」
「俺、類に助けてもらってばっかだけど」
「はーぁ。お前は」
類はあからさまに大きくため息を吐く。常に人当たりのいい笑顔でいる類のこの姿をクラスの奴らが見たら、驚くだろうな。