君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
「関さんもお疲れ」
「今度は私と秀で宣伝してくるから、休憩してていいよ」
さっき類に休憩できるときはちゃんと休めって言われたばっかだから、ここは素直に休憩させてもらおう。
「うん、休憩もらう。何かあったら連絡してくれれば行くから」
「うん。交代の時間になったらまた言うね」
看板を渡して、荷物置き兼控室として各クラスに割り当てられた教室へ行く。
AからCまでは家庭科室だったっけ、と記憶を頼りに西棟に足を進める。
こっちは関係者以外立ち入り禁止でBGMも流れていないから静かだ。
ガラガラと扉を開けると、他のクラスのやつが数人と森野さんがいた。森野さんもこの時間休憩だったのか。
「……あ、伊織君」
お互い目が合う。ここで家庭科室に入るのをやめたら不自然だし『お疲れ』と声をかけて椅子に座った。
お互い、あの日から距離を測りかねている。
森野さんは何を望んでいるのか、俺は、どうしたらいいのか。
いや、どうしたいも何も、普通のクラスメイトって関係に戻るだけで。迷う理由なんかないだろ。